愛着障害 子ども時代を引きずる人々
最近読んだ本の紹介です。
光文社新書の文庫本「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」です。
愛着とは、ある特定の存在に対する特別な結びつきのことで、半永久的に持続する関係のことです。この特定の存在とは養育者、とりわけ母親とのことを指します。養育者と愛着を築くことが出来ず、安定した愛着を持てないことで生じる不安定な愛着スタイルのことを愛着障害といいます。
愛着形成の臨界期は生後半年~1歳半で、この時期に愛着の絆を確立することが大切です。そして2~3歳くらいで愛着形成が完了し、子供は愛着が確保されていることで安心して外界を冒険しようという意欲を持つことができます。
愛着障害の原因は様々ありますが、養育環境の影響が7~8割、遺伝の影響が2~3割ほどだそうです。養育環境の割合が大きいですね。それだけ環境が大切だということが分かります。
子どもの頃の愛着の傾向を愛着パターンといい、成人する頃に愛着スタイルとして確立していくそうです。大きく安定型、不安定型に分けられており、不安定型が愛着障害にあたります。不安定型には①回避型と②不安型があり、回避型は親しい関係を重荷に感じ、親密さを回避し距離を置こうとする特性があります。不安型は拒絶や見捨てられることを恐れ、相手の顔色を窺い過ぎてしまう特性があります。また、親や恋人に対して肯定的な態度と否定的な態度が両立している面もあるそうです。
自分に当てはめて考えてみると、不安型のような気がしました。親が嫌いで憎い、許せない面と感謝している面があり、憎み切れず苦しい気持ちを持っています。認めるのが苦しいですが、私の親は毒親傾向があると思います。
この愛着障害や毒親の話は虐待やネグレクトなどかなり酷い扱いを受けた子供だけのことではありません。この本によると、母数が不明ですが3分の1が不安定型の愛着傾向だそうです。表面上は問題ないように見えても、潜在的に愛着に問題を抱えている人が相当数いると考えられます。
では、どのように克服していけば良いのか?一番は親との関係改善が望ましいですが、第三者でも安全基地となる存在がいることで愛着スタイルも安定型になっていくそうです。良い安全基地とは、
①安全性が保証されている:一緒にいても傷付けられない
②感受性(共感性):相手が求めているものを察する
③応答性:相手が求めているときに応じる
④安定性:気分、都合で対応を変えない
⑤何でも話せる
そして、こうした安全基地となり続けるように努めること!です。
このような安全基地となる存在を作り、幼い頃の不足を取り戻すことが重要になってきます。
それと同時に、認知療法も並行して行います。過去の傷付いた経験を言語化する作業を安全基地となる人に付き合ってもらいながらやっていくと良いそうです。過去の傷付いた経験を思い出すことはかなり心が苦しくなりますが、徹底的にすることで次第に過去色々あったことが受け入れられるようになるみたいです。
あとは自己肯定感を高めるために、責任があることや自分の役割を認識できるようなことをすると良いとの事でした。
結論としては、親との間に愛着の問題を抱えていても他に安全基地となる存在がいることで愛着障害は克服できる!ということかなと思いました。
しかし、安全基地を得たことで親との関係が変わるかというとそうでもないのかなと思います。人との付き合いづらさや生きにくさは改善されるかもしれませんが、根深い親子関係の溝を埋めることはとても難しいです。もちろん、親も良い意味で変わる可能性も0ではないので絶対ではないですが。厄介な親ほど自分は子供のために精一杯やってきた、問題があるのは子供のパーソナリティのせい!みたいに思ってたりするのでなかなか大変です。
私の場合、まず小学校高学年~中学くらいで母親との関係が悪くなり、高校~社会人なりたての頃は比較的安定していた時期、社会人3年目辺り~結婚前に再び母が苦手になり、結婚式のことで色々揉めて更に悪化、出産してからは自分の人生史上最高に母親が苦手になりました。これから更に上がるのか下がるのかよく分かりませんが今現在母親苦手指数ピークです。絶対に言えませんがぶっちゃけ義母の方が好きです。何か人でなしみたいに思われそうだから言わないだけで結構こういう人いるのではと思っています。もちろん里帰り出産などしていません。
話が逸れましたが、この本では親子関係の改善について言及していません。そういうのあったら知りたかったけど、そもそも個人差が大きすぎるから難しいかな。無理に改善しなくても、お互いのために最低限の付き合いでつかず離れずやっていくことが良いのかなと思います。最低限の付き合いすらしたくない人はそれでもOK。たとえ家族でも相性はありますし。
今の私は母親とは離れるべき時期だと思っています。これから何かのきっかけで仲良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。人との縁ってそんなものかなと思います。ありがたいことに信頼できる夫や友達がいるので、そんな人たちとこれからも良い関係を築いていけるように努力していきたいです。そして、子供にとって安全基地となる母ちゃんになれるよう頑張っていきます!